ベンツの売れ行きにみる経済格差

ベンツがカローラよる売れているところがあるって本当?

サプライズをどれくらい出せるかがサービスの基本

サービス2

客の期待以上のものを提示する――サービスの本質とは、そうであるべきだ。

客にとってサプライズというのは、その人が思い描いていることを、少しでも超えたものを提供したときに、満足してもらえたかどうかにかかってくる。 

そんなサービスについてベンツのセールスマンはこう語る。


一流の流儀


「中級ホテルの従業員は、料金相応のサービスしかできません。

そのような値段設定ですし、宿泊客も、ある程度は要求してもあきらめてしまう。

一方、箱根や都心の超一流の旅館やホテルに行けば、顧客に対するサービスは当然、洗練されている上に、さらにプラスアルファとして、奥さんの誕生日や記念日を覚えていてくれたり、利用客の予想を超えた配慮をしてくれます。

それは特別な待遇をするだけでなく、利用客の想定を超えた対応を心がけているのです。

つまり、一流のサービスとは、痒いところに手が届くサービスではなく、痒くなりそうなところをかいてさしあげることだと思っています」。 

一流の車、メルセデスを売るからには、サービスも一流でなければならない。 

客が感動するサービスができないか、いつも模索しているという。

「私が考えるサービスとは、お客さまがほしいと言う前に、その要望に完璧に応えた車を仕入れておいて、お届けするということです。 

メルセデスの場合、新規に発注してから届くまでに4か月を要するので、事前にこちらでオーダーしておきます。 

そしてお客さまが換えたいときに、すぐにお持ちしますが、たまに外してしまったり、時期がずれてしまったりするので、まだまだですね」

そんな客の予想を超越したもてなしができるように、彼は客の動向を虎視眈々と狙っている。そして客が痒いと感じる前に察知し、サービスすること――、いわば究極のサービスをしている。


付加価値のあるサービス


「北極のシロクマに冷蔵庫を販売して、”買ってよかった”と思ってもらう。
更にクーラーもお求めいただく――。それが自分のセールスポリシーです」

クーラーの話は極論だが、車が目的地まで移動するための機械であるならば、どのメーカーのものでも大差はない。 

客は、運搬機器以上の値打ちをメルセデスに見い出している。

そんな意味から、客の車のトラブル時に誠実に対応するのだという。

「お客さまは、メルセデスを買うときの1千万円、2千万円はどうってことはない、という方ばかりです。

気持ち良く支払ってくれます。 そうだとしても、人間の心理として、修理代の10万円はおもしろいわけがありません」

車にトラブルが生じたら、車のケア同様、乗っている人への心配りも必要だという。

そのために、万が一の場合は、時間の許す限り、客の元に駆けつける。

「メルセデスの価値を買っていただいているお客さまに、”じゃあ、うちの修理工場に持ってきてください”などと軽々しく言えません。

たしかに、大事な商談を切り上げなければならなかったり、休日がつぶれてしまったりすることもあります。 

しかし、私がお売りするメルセデスの値打ちのなかには、サービスも含まれているのです。 

売るときばかり調子いいことを言って、トラブルが起きたら無対応では、あまりに不誠実すぎます」

人の価値観は、それぞれ違う。

ただし、その「値打ち」に疑問を持ち始めたら、そこから離れるのはあっという間のことである。


サービスは無料であり、無料ではない


「一台、一台、どんなお客さまに対しても、いかに満足してもらえるかを考えて、メルセデスをお届けしているつもりです。 

まだまだ至らないところはたくさんあります。それでも、やはり、お客さまに満足してもらえれば力になるもの。そんなお付き合いをずっとしていきたいのです」

それでも、苦手な客はいる。

「たとえば”買ってやるよ”という態度の方には、あまりお求めいただきたくありません。

その方が、どれだけ資産をお持ちでも、何台購入されるかわからないような方でも、今ではお断りすることもあります。 

また、ほんの気持ちとして行なったサービスを当然ととらえる方も苦手です。 

お礼の言葉がほしいわけではないと言えます。でも、そのような方はけっして、何をしても喜ばないし何も伝わらないのです」

レストランで、水を運んでくれたウェイターにありがとうと言えない人を、認められない。

そんな人は他人の気持ちがわからないと言う。

「私のお客さまは、大変なお金持ちであり、社会的地位の高い方ばかりです。

しかし、皆さまに共通しているのは、人に対して思いやりがあり、まわりの人たちをとても気持ち良くさせてくれるということです。 

そして、こちらのサービスの対価を理解してくださり、それに対して快く財産を割いてくださいます。 

そんな方々には、すすんで誠実にサービスさせていただきたいと思います。お客さまに喜んでいただくことが、私のいちばんの幸せなのです」

もてなしをするのではなく、もてなしをしたくなってしまう――。ベンツの顧客は、そんな魅力が溢れているという。