ベンツの売れ行きにみる経済格差

ベンツがカローラよる売れているところがあるって本当?

東京都民は軽自動車になじみがない

東京駅

軽自動車保有率の低い県は、北海道を除くと、ほぼ例に漏れず平均年収が高い。

クルマは単なる移動の道具としてだけではなく、趣味であったり、ステイタスシンボルだったりするから、収入が多ければ上のクラスのクルマに目がいくのが当然。

駐車場が高価な大都市部では、値段のはるところに小さくて安い車をわざわざ置くのはバカバカしい、という意識も働くだろう。

本当に使って見ると、軽の小回り性の高さは大都市部でこそ強烈に実用的で、コインパーキングに入れる時など、「軽でよかった」と思わずにはいられないが、都会では軽は非常に下に見られ、割り込みのかっこうの標的になり、また、軽に対する強い偏見が都会の若い女性にはあるという負の面も否定できない。


東京では希少な軽自動車への無理解


東京で若い女性に「好きなクルマ、嫌いなクルマ」というようなアンケートを取ると、嫌いなクルマナンバーワンに来るのは「軽」がお約束だ。

クルマの知識が浅いので、性能や利便性は無視で、とにかく軽を軽視している。

「クルマは別になんだっていいけど軽だけはヤダ」というのが最も典型的な回答なのだ。

「軽は自分で走ってるみたいだからイヤ」という回答もあった。

どういう意味かというと、軽は外側だけで、中ではドライバーが足で走ってるみたいに見えるということらしかった。

なんという偏見だろう!

東京では、軽を自家用車にしている人は非常にレアであるため、実際の軽自動車がどんなものか、よく知られていないというのが実情だ。

たとえば港区の場合は、5ナンバーの軽乗用車は1366台しか保有されていない(4ナンバーの軽貨物車は4152台≒配達用)。

すべての軽乗用車を合計しても、ポルシェをちょっとオーバーする程度なのである。

軽で日本一売れているスズキのワゴンR(カローラよりも多く売られている)も、港区では珍車なので、本当に軽に乗せて見ると、「こんなに広いんですか!」「こんなに走るんですか!」と驚愕の嵐になる。

以前、フェラーリ&ロールスロイス・ベントレーの日本正規代理店になる「コーンズ&カンパニーリミテッド」の芝ショールームにスズキのアルト(軽のベーシックカー)で、取材に行ったことがある。

コーンズの広報担当者たちは、フェラーリやロールスロイスよりよほどアルトが珍しかったようで、「へえ~!」「すごい!」「けっこうオシャレですね」と、ワシントン条約で保護されている希少種のように賞賛してくれた。

もちろん港区にだって、乗用・貨物合わせれば5.7%の軽が走っているのだから、彼らとて日常的に目にはしているはずなのだが、「目に入っていない」「見るべき対象として考えていない」「自分とは無関係のものと割り切っている」のだろう。


軽が売れるのは降雪のない南国


軽自動車率の高い県は、「平均年収が低い南国」に偏っていることがわかった。

平均年収が全国ワーストワンの青森県でも、軽自動車率では22位と中ほどにつけている。

北海道にいたっては45位と、全国で3番目に低い。

雪の降る地域では軽は少ないのである。

青森県出身者にこれについて尋ねたところ、そのようなことは意識したことがないそうで、

「えっ、軽、少ないですかあ!?」が第一声だったが、
「うーん、言われてみれば、雪でお腹擦っちゃうんですよね、軽ってタイヤの径が小さいから。
それと、クルマの幅が狭いから、わだちの幅も合わないし、冬の間は斜めに傾いて走ることになるから(笑)、そういうことかな?」

とのことだった。

一方、軽自動車率ナンバーワンの高知県。

平均年収は下から数えて11番目、加えて南国。

言うまでもなく雪は降らない。

高速道路の建設も遅れていて、片側2車線以上の道路が大変少ない。

ほかの車を追い越すこと自体が滅多にないという低速交通エリアである。

いいクルマを買ってもほとんど意味はなく、見栄を張るべき対象もいない。

いわば軽の独壇場。

広島や福岡を除いた中国・四国・九州地方全般に、同じような傾向がある。